“有酸素運動”と“筋トレ”の負荷は「心拍数」と「息切れ」で決める
ダイエットや健康のために「運動しよう」と考えたとき、「どんな運動」を「どのくらいやれば良いのか」って悩みますよね。
運動には、「有酸素運動」と「無酸素運動(筋トレ)」の2種類があります。
そして、それぞれ「心拍数(脈拍数)」や「息切れ度合い」で負荷を決めることができます。
今回は、有酸素運動と無酸素運動(筋トレ)をやるときの、負荷量や運動時間について解説します。
目次
運動の種類とその効果
運動の種類は「有酸素運動」と「無酸素運動」の2種類
運動には「有酸素運動(ゆうさんそうんどう)」と「無酸素運動(むさんそうんどう)」の2種類があります。
<有酸素運動>
・負荷が弱く、長い時間できる運動
・脂肪の燃焼を高める効果がある
<無酸素運動>
・負荷が強く、すぐに疲れる運動
・無酸素運動の代表は筋トレ
・筋トレで筋肉がつくと、結果的に脂肪の燃焼を高める
有酸素運動も無酸素運動も、ダイエットに効果があります。
長い目で見て“太りにくい”体をつくっていくには、有酸素と無酸素の両方の運動を取り入れることが大事。
引用元:ダイエットには“有酸素運動×筋トレ”が効果的!インストラクターに聞くおすすめ運動メニュー&やり方/美的.com
それぞれのダイエットへの効果について、次の項で解説します。
有酸素運動は脂肪燃焼の効果がある
有酸素運動は、長い時間続けることができる運動です。
例えば
- ウォーキング
- ジョギング
- 自転車(エアロバイク)
- 縄跳び
- フラフープ
これらの運動は、脂肪を燃焼する効果があります。
特に、 連続で20分以上やると脂肪を燃焼する割合が多くなると言われています。
有酸素運動は「20分以上、続けて運動すると効果がある」という認識が浸透しています。
でも実は、20分以上続けて運動ができなくても大丈夫なのです。
というのも、「5分や10分の運動」を休憩を挟みながら繰り返し、合計で20分以上になれば、「連続で20分運動した時」と同じ効果が得られるということが分かってきたのです。
運動は小分けにしても、まとめて行っても効果はほぼ同等
著名なフィジカルトレーナーである中野ジェームズ修一さんは、「運動は小分けに行っても、まとめて行っても効果はほぼ同等」と話します。
引用元:運動は一気にやるか小分けか、効果あるのはどっち?/ヘルスUP日経Gooday30+
なので、仕事・家事・育児で忙しくて「続けて20分」という時間が無い人でも、こまめに運動することが大切です。
関連記事:【有酸素運動】種類別で消費カロリーを紹介します
筋トレには“間接的”なダイエット効果
筋トレ(無酸素運動)には“間接的”なダイエット効果があります。
筋トレ(無酸素運動)のメリット3つ
- 基礎代謝が増える
- 筋トレ自体でカロリー消費できる
- リバウンドしにくくなる
筋トレなどの運動で、筋肉が付くと「基礎代謝」が増えます。
つまり、筋トレ(無酸素運動)をすることで基礎代謝が増え、脂肪の燃焼に繋がるのです。
そして、筋トレすること自体も、運動の一つなので、当然、カロリーを消費します。
筋トレ(無酸素運動)は、脂肪燃焼+カロリー消費という効果があるということですね。
筋トレは「一石二鳥」です。
また、それに加えて、筋トレはもう一つダイエット効果があるので、実は、筋トレは「一石三鳥」という事になります。
筋トレは「一石三鳥」という事実
筋トレは、実は「一石三鳥」なのです。
筋トレをすればカロリー消費し、筋肉がつけば脂肪燃焼に繋がります。
そして、3つ目の大きな効果は、「太りにくい体質になる」ということです。
筋肉がつくと、「基礎代謝」が増えるため、太りにくくなります。
つまり、リバウンドも予防することができるのです。
有酸素運動の「強さ」の決め方
有酸素運動をやる「強さ」の決め方には、色々な方法があります。
その方法は、3つに分けられます。
- 心拍数(脈拍数)で決める方法
- 息切れ(自分の感覚)で決める方法
- METs(メッツ)で決める方法
心拍数や息切れで決める方法は、なんとなくイメージが湧くと思います。
METs(メッツ)というのは、活動や運動をした時のカロリー消費を数値化したものです。
後程の項で詳しく説明します。
まずは、心拍数で有酸素運動の「強さ」を決める方法について解説していきます。
有酸素運動の強さを心拍数で決める方法
まずは、有酸素運動の強さを「心拍数(脈拍数)」で決める方法について解説します。
これは「普段あまり運動していない人」や「運動をこれから始めようとしている人」にオススメの方法です。
「心拍数(脈拍数)」で運動の強さを決めるためには、まず「目標心拍数(脈拍数)」を決めます。
「目標心拍数(脈拍数)」とは、運動中の目標とする心拍数(脈拍数)のことです。
目標心拍数(脈拍数)の出し方は以下の通りです。
目標心拍数=(最高心拍数−安静時心拍数)×目標の強さ+安静時心拍数
最高心拍数:220‐年齢(歳)
安静時心拍数:安静にした状態での心拍数
運動の強さ:有酸素運動の強さを設定するときは50%~60%(0.5~0.6)が良い
※安静時心拍数の測り方:人差し指・中指・薬指を揃え、反対側の手の親指の付け根や手首に当て、15秒間脈拍を測り4倍する。(ちゃんと1分間測っても良い)
それでは、例を挙げて計算してみましょう!
<例>30歳で、安静時心拍数が70回の人の場合
最高心拍数:220-30=190回
安静時心拍数:70回
運動の強さ:0.5~0.6
これを計算式にあてはめます。
目標心拍数=(最高心拍数190−安静時心拍数70)×目標強度50%+安静時心拍数70
=(190−70)×0.5~0.6+70
=130~142回
つまり、「30歳で、安静時心拍数が70回の人」が有酸素運動するときは、心拍数が130回~142回になるような強さが最適という事になります。
有酸素運動の強さを息切れで決める方法
有酸素運動の強さを「息切れ」、つまり自分の感覚で決める方法もあります。
先程の、心拍数を計算するのが「面倒くさい!」と思った方にはオススメです。
これは、自分が「ややきつい」と感じる程度の強さで運動するというものです。
体調や調子の波もあるので、その日・その時に合わせて「ややきつい」と感じる強さで構いません。
この決め方は、とっても簡単な方法ですが、ちゃんと“根拠”があります。
実は、有酸素運動の強さが最適なとき、人は「ややきついな」と感じるのです。
そのため、とっても簡単なこの「ややきつい」と感じる強さで運動すれば、有酸素運動の強さとしては間違いはないのです。
計算が面倒だと感じる人は、ぜひこの方法を使ってみてください。
有酸素運動の強さをMETsで決める方法
最後に、有酸素運動の強さを「METs(メッツ)」を使って決める方法をご紹介します。
運動の強さの指標には、「METs(メッツ)」という単位が存在します。
METs(メッツ)は「安静にして座っている状態」を「1METs」とする、と決められています。
その、座って安静にしている状態の「何倍の労力が必要か」で、運動の強さが決められているのです。
詳しい運動の強さ(METsの単位)については(独)国立健康・栄養研究所のMETs(メッツ)換算表を参照してください。
では、このMETsはどのように使うのか、例を挙げて計算していきましょう。
<例>体重50kgの人が、1分80mの速さで1時間ウォーキングした場合
1分間で80mで歩くということは、時速に直すと4.8km/h。
時速4.8kmで歩くことはMETsで表すと、3.5METs。
(先程の(独)国立健康・栄養研究所のMETs(メッツ)換算表を参考にしています)
そして、これをカロリーに置き換える計算式は以下の通りです。
時速4.8km(分速80m)くらいで、体重50kgの人が1時間歩き続けた場合は以下の式になります。
1.05×3.5METs×50kg×1時間
=1.05×3.5×50×1
=183.75kcal
つまり、1時間のウォーキングで約184kcaを消費したことになります。
もし、ウォーキングを20分続けた場合は下の式になります。
=1.05×3.5METs×50kg×(20分なので)1/3時間
=1.05×3.5×50×1/3
=61.25 kcal
つまり、20分のウォーキングで約61kcalを消費したことになります。
ちなみに、1時間も同じ運動を続けることは多くないので、分かり易く、合計20分の運動をした場合のカロリーを計算をしたものを表にしました。
表のカロリーは「20分あたりの消費カロリー」として参考にしてみてください。
↓下の表は、スマホ表示の場合、横にスクロールできます。
METs | 運動種類 | 運動速度 | 体重(kg)あたりの消費カロリー(kcal) | |||
時速 | 分速 | 45kg | 50kg | 55kg | ||
3 | ウォーキング | 4km | 67m | 47kcal | 53kcal | 58kcal |
4.3 | 5.6km | 93m | 68kcal | 75kcal | 83kcal | |
5 | 6.4km | 107m | 79kcal | 88kcal | 96kcal | |
6 | ランニング | 6.4km | 107m | 95kcal | 105kcal | 116kcal |
9 | 8.4km | 140m | 142kcal | 158kcal | 173kcal | |
10.5 | 10.8km | 180m | 165kcal | 184kcal | 202kcal | |
8.8 | 縄跳び | 100回 | 139kcal | 154kcal | 169kcal | |
11.8 | 100-120回 | 186kcal | 207kcal | 227kcal | ||
12.3 | 120-160回 | 194kcal | 215kcal | 237kcal | ||
4 | 自転車 | 16km(全般) | 267m | 63kcal | 70kcal | 77kcal |
6.8 | 18km(通勤) | 300m | 107kcal | 119kcal | 131kcal | |
8 | 20km(スポーツ) | 333m | 126kcal | 140kcal | 154kcal | |
6 | 水泳(クロール) | 50m以下 | 95kcal | 105kcal | 116kcal | |
8.3 | 50m | 131kcal | 145kcal | 160kcal | ||
10 | 70m | 158kcal | 175kcal | 193kcal |
↑スマホ表示の場合、横にスクロールできます。
もし、合計で1時間の運動ができた場合は、この表のカロリー(20分ごとのカロリー)を3倍した数値が1時間あたりのカロリーです。
45kg、50kg、55kgの人用で、おおまかな分け方しかできていませんが、参考になれば幸いです。
筋トレの「強さ」の決め方

次は、無酸素運動(筋トレ)の「強さ」の決め方について解説します。
無酸素運動の代表例は筋トレです。
なので、カッコ書きで(筋トレ)としました。
無酸素運動は、筋トレのような「負荷量の強い運動」を指します。
もっと簡単に言えば「すぐに息が切れてしまい、長く続けることができない運動」です。
筋トレの強さは人それぞれ
筋トレの強さは、人それぞれです。
なので、コレといった決まった強さはありません。
筋肉がある人とない人では、持ち上げられる重りの重さが違うからです。
最適な筋トレの強さは「10回連続で行うことが限界な重さ(強さ)の、6~7割の重さ(強さ)」と言われています。
10回で限界を迎える運動をいくつか試します。
例えば、「10kgのダンベルを持ち上げる運動」が10回が限界だったとします。
そうしたら、10kgのダンベルを持ち上げる運動は10回が限界なので、その6~7割(6~7kg)のダンベルを10回持ち上げる運動が、筋トレの最適な強さ、ということになります。
それか、10kgのダンベルを6~7回持ち上げる運動を行うことも同様です。
筋トレは「次の日に筋肉痛が起こる」くらいの強さ
筋トレの最適な負荷量は「次の日に筋肉痛が起こる」くらいがオススメです。
筋肉痛は、筋肉がダメージを受けてから「回復する過程」で起こります。
ダメージを受けた筋肉が回復するときに、筋肉が増えるので、筋肉痛が出るレベルが最適と言えます。
もう一つのポイントは、筋肉痛が「次の日に起こる」という点です。
よく、「歳をとると、筋肉痛が遅れて(2~3日後に)来る」というのを耳にするかと思います。
これは、少し間違っています。
実は、筋肉痛が遅れてくるのは「歳をとったから」ではなく「負担が大きくなるから」なのです。
筋肉痛が遅れてやってくるのは、年をとった人ではなく「ふだん運動をあまりしない人」ということになる。
引用元:残念、筋肉痛が遅れてやってくるのは年齢のせいじゃなかった【知らない人が多い!? 「平成31年版」理系の新常識】/ダヴィンチニュース
もっと簡単に言えば、「筋肉が沢山傷つくから」です。
筋肉が沢山傷つくと、修復に時間がかかるため、筋肉痛が遅れて(2~3日後に)やって来ます。
なので、筋肉痛が遅れて(2~3日後)にやってくる負荷では強すぎるため、「次の日に筋肉痛が出るくらい」の筋トレが、最適な強さという事になります。
まとめ
有酸素運動と無酸素運動の運動様式の違いと負荷量の決定についてお話ししてきました。
今回は有酸素運動の具体的な数値もまじえてお話ししたので、みなさんの普段の運動時のカロリー計算や負荷量設定の参考になればと思います。